整体師・ボディセラピストの悩みとメンタルスキル
私はこれまで、NLP(神経言語プログラミング)やカウンセリングをはじめとした、主に心理系のさまざまなセミナーや学習会に参加したり、自分でも勉強会やセミナーを開催したりして来ました。
そこで出会う人々(参加者)には、もちろんカウンセラーや心理セラピストも多くいましたが、普通の主婦から会社の社長、学校の先生などいろいろな人たちもいました。
そして意外と多かったのは、整体師やカイロプラクターといったボディケアの専門家の人たちでした。
彼らの多くは、すでに独立して自分で治療院をやっている人がほとんどで、中には治療院を休業してまで参加している人もいました。
それほどまでして彼らが心理系のセミナーに求めていたもの・・・。
それは、一言でいえば「患者(クライアント)を納得させる方法」と言っていいでしょう。
これは私が仲良くなった、個人で整体院を開業しているNさん(仮)の話です。
「一番困っているのは、改善しているにもかかわらず、『良くなってない』といって文句を言ってくる人です。実際は患部の動きや痛みも、最初よりかなり良くなっているんですけど、自分で痛みを見つけ出して『ほら、こうするとまだ痛い』って(苦笑)。だから、こちらもプロとしての意地があるので懸命に施術しますが、毎回来るたびに文句を言われるので、どうしたら良いかと思って参加してます。まあ、文句を言いながらも通ってきてくれているので、そこは良いんですけどね(笑)。ただ、待合室で他の人にも『ちっとも良くならない』って大声で話してるのが聞こえてくると、正直困るし腹も立つしで・・・(笑)」
ちなみにこのNさんに、セミナー終了後に簡単な施術をしてもらいましたが、とても上手な方でした。
正直、ボディケアもメンタルケアも、人によって合う・合わないというのがあるので仕方のないところもありますが、この話を聞いていて私が思ったのは、やはりコミュニケーションに問題があるのではないかということでした。
実際、Nさんの普段の施術の方法を聞いてみたところ、まず主訴を聞いて患部を動かしたりして確認して、後は基本黙々と施術をするとのことでした。
そこで私がアドバイスしてみたことは、相手を生徒か研修生だと思って、解説しながら施術をするという方法でした。
もちろん、詳細に説明してウンチクを語ることが必要なのではなく、例えば「○○さんはここが痛いんでしょう? ここはね、こっちの筋肉のコリから来てるみたいだから、まずこっちからやっていくからね」というような、簡単な説明をして、理由付けをしてあげることで、相手に「今自分が何をされているか」という小さな納得を積み上げていくことが、この方法の大きな目的です。
このアドバイスを思いついたのは、セミナー終了後に施術してもらった時に、私が「肩こりがする」と言ったら、Nさんは肩を軽く揉んで動かしたりした後、腕や腰の方を施術して、最後にもう一度肩をやるという感じだったので、「腕や腰もやってくれたんですね」と聞くと、「藤さんの場合、腰と腕の方から肩に来てるから」と言われた時でした。
私の場合、知り合いになったご縁で、短時間とはいえプロに無料でやってもらったので当然文句はありませんし、私も多少は東洋医学系の知識はあったので、言われればすぐに理解できましたが、これが客としてだったら「肩だと言ってるのに腕や腰をもんでるな?」と訝しがられてしまうかもしれないなとも思いました。
例えばマッサージチェアなら、肩こりの人は肩中心のコースを選択するでしょう。
それなのに、もしマッサージチェアが足や腰ばかり揉み始めたら「何だこれ?」と思われても仕方がありませんよね。
つまり、顧客満足度(?)的に言えば、お客のニーズに応えているけれども、それがほとんど伝わってないので、お客が満足できていないのではないかと感じたのです。
アドバイスをした時は「そんなモノですかね~」と苦笑いされていたNさんですが、最近LINEで連絡が来て、その後は施術の時に少しずつ説明の話しかけをし始めたところ、少なくとも待合室で文句をいう人はいなくなったそうです(笑)。
Nさんはプロフェッショナル過ぎて理解されなかった例だと思います。
ちなみに、その他の整体師やカイロプラクターの方は別のことで悩んでおりましたが、それはまた別の機会に(笑)。